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交通事故紛争処理センター体験レポート

交通事故紛争処理センター利用のデメリット・メリット

 無料で利用できる交通事故紛争処理センターですが、センター制度や実際に利用する上でメリットだけでなく、デメリットも少なからずあります。
 交通事故紛争処理センターは、利用範囲が限定的さえ、損害が確定できる状態となってからでないと利用することができません。
 また、弁護士が紛争処理を目的とした中立な立場であり、無料で利用することができますが全国で11カ所しかありません。

利用範囲が限定的

 基本的に加害者が契約している任意自動車保険が、対象となる保険会社である必要があります。
対象となる保険会社:日本損害保険協会や外国損害保険協会に加盟する保険会社、JA共済、全労済、交協連、全自共、日火連


損害が確定できる状態となってから

 治療の終了や症状の固定後。後遺障害については後遺障害等級の認定手続き完了し、損害賠償額が確定できる状態になるまで利用することが出来ません。
 このため、長期の治療等においては治療を終えるまで受付すらすることが出来ず、解決まで長期間時間がかかります。
 治療中等で損害賠償等で不安を感じたときでも相談をすることができません。このため、治療中などの期間で相談を行いたいときには弁護士や他の交通事故相談に応じてくれる機関での相談となります。

 管理人の実体験として、事故から治療に半年で症状の固定。その後紛争センターの受付を行い、最終的に解決まで事故から14か月程の期間を有しました。


弁護士が中立な立場

 通常の手続きで弁護士に対して依頼を行う時、弁護士は依頼人味方。弁護士は依頼人の最大の利益のために活動します。しかし、センターでは弁護士(相談担当弁護士)は依頼の味方ではなく、あくまで紛争解決に向けて中立な立場で業務にあたります。
 また、弁護士はセンターの194名(2016年9月時点)の遺嘱弁護士から選任され、依頼人は弁護士の指名や担当弁護士の変更をすることができません。
 このため、交通事故の損害賠償について力のある弁護士に担当してもらいたいときなどは、センターを解せず自ら直接弁護士を雇う必要があります。

 管理人の体験では、相談弁護士はセンターからの解決において何度も経験のある弁護士であっため、説明等が解り易い方が担当でした。


設置個所が全国で11カ所

 センターは本部・支部・相談室を合わせて全国で11カ所しか設置されておらず、利用ではこれらのに本部・支部・相談室等に自ら出向く必要があります。
 また、平日の昼間(9時から17時)に限られるため、平日の日中に仕事をしている場合には利用し難い面があります。
 解決までに数回訪問することが必要であるため、自宅から管轄するセンターまでの距離がある程度の範囲にないと実際の利用は難しくなります。
 訪問にかかる交通費等や、会社を休んだ分の休業は損害賠償等に含まれないため、自己負担となります。
 また、近くにあるのが相談室であった時、あっ旋された和解案が受け入れられずに審査会へと発展した時には、審査会は相談室を管轄する本部・支部で行われるため、本部・支部まで出向く必要があります。(支部へ出向くのは審査会の時のみ)

 相談室で解決しなかった時の管轄
 さいたま相談室(埼玉県、群馬県、栃木県、長野県、新潟県)→ 東京本部
 静岡相談室(静岡県)→ 名古屋支部
 金沢相談室(石川県、富山県、福井県))→名古屋支部

 管理人の体験では、相談室での扱いであっため、相談室に4回。審査会のため本部・支部に1回の訪問となりました。審査会に必要な申込手続きや資料提出については、手続きを相談室で行い、資料提出についても相談室に提出した資料が審査会(本部・支部)に送られたため、本部・支部への連絡等を含めて訪問の1回のみでした。
 審査会による本部・支部への訪問では、審査会と裁定で正味2時間程度終了したものの、遠方による移動の為日帰りで1日がかりとなりました。


センター利用のメリット

・無料で利用できる
 弁護士費用や相談・和解あっ旋に伴う直接支払う費用が無料で利用できます。
 利用者の負担は、相談等に伴う交通費や車の駐車料金。通信費。損害を証明するため資料作成や証明書にかかる費用などだけで非常に安価に利用することができます。

・裁定内容を拒む権利は利用者が側にある
 あっ旋内容などで内容の合意が得られない場合でも、最終的に行われる裁定内容については、保険会社等は裁定内容を尊重しなければなりません。実質、内容を受け入れなければなりません。
 これに対して利用者は裁定内容に不満があれば拒むことができます。紛争処理センターを利用しても不満があれば改めて直接弁護士を雇う。裁判等を行うこともできます。

・解決が早く
 裁判を行うことと比較し。早期に解決することができます。

・損害賠償額基準が高い
 損害賠償額の算定にあたり、保険会社が提示する支払い基準より高額となる弁護士基準を用いて算定することで同じ入院・通院内容でも損害賠償額が高額となります。

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